ALTE MESSER

フェルメールの街 #9 


SONY α7R lll / FE 24-70mm GM
夜明けのマルクト広場を撮っていたら、隊長が真っ直ぐこちらに向かってきた。彼がなぜ隊長かと言うと、生ゴミが荒らされるのを
防ぐべく、カモメ達を追っ払って回っているからだ。つまり広場の警備隊長というわけである。
「しかし隊長。私は別に広場を荒らしてはいませんぜ」
私がそういうと、隊長はいきなり私の足元でゴロンと寝転がって腹を出し、さすってイイヨと甘えてきた。
「しかし隊長。お気持ちは嬉しいんですが、今は朝焼けが最高に美しいときで、あなたの腹をさすっている暇はないんですが……」
でも隊長が切なげに身をくねらせるので、私は仕方なく腹をさすってやり、やめようとするとまた絡みついてくるのでやめられず……
そうこうするうちに……



SONY α7R ll / UWH 12mm F5.6 lll
あ”あ”、もうすっかり明けてしまったじゃないですか~~! 参ったな、もう~~!
私がブツブツ文句を言いながら写真を撮り始めると、隊長はすっと立ち上がって再びパトロールに戻って行った。絶好のタイミングを逃してすっかり気持ちが萎えてしまった私は、今さら撮っても全然面白くないので、ホテルに戻ることにした。すると、広場の出口のところで再び隊長に会った。私は親密な微笑を浮かべながら「おいで、おいで」と声をかけた。ところが隊長は、チラリと私を一瞥しただけで、まったく無表情に歩き去ってしまった。何なんだ、いったい……